カメ吉脱走騒動とその顛末
ここしばらく、ニュースを見れば今なお続くコロナウイルスの感染状況か、某国の情勢に端を発するものばかりが目にとまりますね。
しかし私技術営業部トモティ、現在カメ吉の飼育担当である私の脳内を支配しているのはそのどれでもないニュース。それは数日前にネットで見た「改正外来生物法が採決され、飼育下のミシシッピアカミミガメを自然に放つことが禁止された」というニュース。
何を隠そう、目の前の水槽にカメ吉の姿が見当たらないわけでございまして…
弊社の玄関に入り、2階の事務所へと続く階段のちょうど手前。そこは受付担当ミシシッピアカミミガメのカメ吉がいます。いました。土日挟んで先週までは確かに。
(カメ吉推しなホームページを作ってくれたみつばち社さんになんて言おう…)(外来種の飼育を公言してて逃げられた企業ってマズいのでは?)(そもそも生きてるよな?生きててくれ!?)
様々な思考が渦巻く私と社長が二人で玄関を探すこと数分、
「見つけた!」
玄関の奥の壁際、製品が並ぶ隙間にたたずむカメ吉を社長が発見!
奇しくも6年前工場内に迷い込んでいたカメ吉の第一発見者である製造部Mさんが駆け付けた直後だったため、ヒーローインタビューに対し社長は「Mさんがカメ吉を引き寄せている」と。
無事でなにより。そしてよかった、
『カメの飼育について国から指導を受けた板金屋』という不名誉すぎるオンリーワンを背負うことにはならずに済みそうです。
…しかし安心の後、気になってくるのは脱走経路。製造業たるもの、不具合が出たら再発防止に努めなければなりません。
今まで脱走防止にと吸盤フックにネットをかけていましたが、フックが足りなかったようです。「猫は液体」とはよく言われておりますが、亀もあなどってはいけませんでした。
犯行に利用されたと思われる箇所にフックを増やすと、不満げなカメ吉がネットの隙間に頭を突っ込んでいます。以前から頭をかくための行動だと思っていたこの行為、まさか脱獄を企てる囚人が地道に穴を掘るときのそれだったとは…
ひと安心して事務所に戻ったものの、ひとつの疑問というか心配が残っています。なぜならカメ吉が脱走したのは、水槽の高さ含めて1メートルを超える棚の上。落ちた時にケガはなかったのだろうか…
しかしそんな心配は無用と言わんばかりに、事務所の扉がガラガラと開く音。
「カメ吉、また逃げてるよ」
製造部しょうちゃんさんの報告を受け急いで降りた先で見たものは…
灯油タンクの袋を緩衝材にしている!?というか、
完全にハマって身動きが取れなくなっていました。こんなん笑うわ。
完全に味を占めてしまったカメ吉。二度も破られてしまった事実を重く受け止め、水槽のフタ構造を考え直すことを決意。ひとまず今日は為す術がないため陸地を取り除き翌日へ。
翌日、端材のパンチングメタルを手にした会長に声をかけられました。登場人物が多く、気分は劇場版AISといったところ。
会長曰く、「これでフタを作ろう」とのことでした。私が(紫外線ライト用に)穴を開けたい位置を指定すると即座に完成させてくださいました!町工場すごすぎる…
そういえば以前の記事でも、会長はフタを作って平和を護っていましたね。
会長の活躍により、水槽のフタがリニューアル!かくしてAISの平穏は保たれたのであった…
劇場版AIS ~カメ吉脱走篇~ FIN.
翌日、続編の制作が決定いたしました。
製造と関係ない日記が不本意に長くなりすぎたのでここからの出来事は駆け足で説明いたします↓
どうやら紫外線ライト用にと開けた四角い穴から、ライトを持ち上げて脱出してしまうことが発覚。泣く泣く陸地側のパンチングメタルをとりやめ、100均で金網を購入する私トモティ。金網を設置するも無理やり持ち上げて脱走するカメ吉と偶然休日に居合わせる製造部リーダー。リーダーの手により超重い鉄の塊が乗せられ開かなくなる金網のフタ。これにカメ吉猛抗議、金網の隙間に頭と手が挟まって抜けなくなったとアピール。どうにか引っこ抜き、最初に水槽につけていたネットを金網に巻くことでこれを防止。この日から数日カメ吉がエサを無視するようになるが一週間ほどで回復。
かくして現在、カメ吉は元の落ち着きを取り戻したのでした。めでたしめでたし。